フードイノベーション
~わたしと食べ物の記憶

私が食に関心を持ち始めたのはいつのことだろう…と考えてみました。
日本の食糧基地である北海道十勝・浦幌町に生まれ、
物心ついた頃には食べ物が身近にありました。

子供の頃、我が家では味噌・醤油蔵とデンプン工場、
木材のチップ工場を営んでいました。
産地の利を活かし、農産物に付加価値を付け、
少しでも高く現金で買い取ろう(農協は現金取引ではなかったため)と、祖父が始めた事業でした。

父はその後を継ぎ、毎日工場の管理のため、
夜中にも度々おにぎりを持って仕事にでかけていたことを思い出します。

学校から帰ると祖父と一緒に山林と全ての工場を見回りに行くのが日課でした。

山の木々の美しさは何にも変えられない宝物です

一番好きだったのは、味噌工場。
いつもよい香りがして、
巨大な樽の中にいつか入ってみたいという妄想をしていました(笑)

一番怖かったのは醤油工場。杜氏のおじさんが厳しい方で、
ちょろちょろと走り回る私はいつも叱られてばかりでした。

醤油を作っていた木樽

でんぷん工場では、緑化して捨てられたジャガイモがもったいないと、
家に持ち帰り、母に「それは食べられないのよ」と言われていました。

でんぷんの袋。横浜中華街に出荷されていました

友達と遊ぶより工場が好きで、
毎日毎日たくさんの大人に邪魔者扱いされながらも元気に遊んでいたあの場所。

多分、私の食の記憶は、これら子供の頃の体験に根付いています。
たくさんの社員さんが、朝から晩まで畑や工場で働いていました。
作り手のみなさんにどんな想いがあったのかはわかりませんが、
「生活の営み」がそこにありました。

食べることは生きること、食べ物を作ることは命をつなぐこと。
いつしか、私はそう思うようになっていたのだと思います。

残念ながら、今はもうこの工場たちは閉鎖されてしまいましたが、
祖父や父がつないだ「想い」は私の中に今も小さな炎として残っています。

選択と集中に、たくさんのものを奪われた、
日本の食と地域に豊かさを取り戻したい。

正しいものが評価され、喜びを得るために大切なことはなにか?

目先の出来事や流行に振り回されてきた私の半生でしたが、
もう一度原点に戻って、社会の課題と向き合いたいと思っています。

食セミナー.netというサイトを通じて、
「フードイノベーション~食には社会を変える力がある」という想いを元に
新しい一歩を踏み出したいと思っています。

食の力を信じるみなさまと一緒に…。

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